文書番号: 925901 - 最終更新日: 2007年8月3日 - リビジョン: 2.0 Windows Vista でのオーディオ スタックおよび Windows Media Player のオーディオ再生動作の変更点目次はじめに
Windows Vista では、信頼性を高め、オーディオ アプリケーション開発を簡略化するため、Windows オーディオ スタックが再設計されました。Windows Vista の Microsoft Windows Media Player 11 では、メディア ファンデーションと呼ばれる新しいマルチメディア API が使用されます。メディア ファンデーションでは、Windows Media オーディオ (WMA)、Windows Media ビデオ (WMV)、および MP3 の各メディア形式が提供されます。これらの変更により、Windows Vista での Windows Media Player のオーディオ再生の動作が、Windows XP での動作とは異なる場合があります。この資料では、Windows Vista でのオーディオ再生について説明し、その中で発生することのある現象を変更するためのオプションを紹介します。
詳細Windows Vista オーディオ スタックについてここでは、Windows Vista オーディオ スタックおよびこのスタックのいくつかのコンポーネントについて説明します。オーディオ アプリケーションは、オーディオ エンジンと呼ばれる新しい Windows コンポーネントのバッファに非圧縮オーディオ データを書き込みます。オーディオ エンジンは Windows オーディオ サービスに含まれます。共有モードのオーディオ エンジンは、ローカル エフェクト (LFX) と呼ばれるオプションのオーディオ エフェクトをストリームごとに適用します。また、オーディオ エンジンは、このデータにセッションごとのボリューム コントロールを適用します。次に、すべてのアプリケーションからのストリームがミキサーのバッファでミキシングされます。この時点で、一連のグローバル オーディオ エフェクト (GFX) が適用される場合があります。GFX の前または後には、グローバル ボリューム コントロールの変換が適用されます。続いて、このオーディオ データは、オーディオ ドライバからオーディオ ハードウェアに渡されます。オーディオ エンジンは、排他モードでも動作しますが、動作は異なります。次に、排他モードでの動作について詳しく説明します。通常、オーディオ エンジンのオーディオ バッファは、アプリケーションによってオーディオ エンジンでサポートされる形式で提供されます。オーディオ サンプルの形式は、サンプリング レート、ビットの深さ、およびチャネル数で構成されます。オーディオ エンジンで内部的に使用されるサンプルのビットの標準の深さは、32 ビット浮動小数点形式です。ただし、オーディオ エンジンでは、32 ビットまでのほとんどの整数形式が有効です。また、オーディオ エンジンは、ほとんどの形式を内部で浮動小数点形式に変換します。オーディオ コントロール パネルでは、必要なサンプリング レートが "既定の形式" として指定されます。既定の形式は、コンテンツを提供するためにオーディオ デバイスによって使用される形式を指定します。オーディオ エンジンでサポートされるチャネル数は、通常、オーディオ デバイスのスピーカー数です。 サンプリング レートおよびデータのビットの深さの変更は、サンプル レート変換と呼ばれます。アプリケーションでは、固有のサンプル レート コンバータが作成されることがあります。または、PlaySound、WAVE、MIDI (Musical Instrument Digital Interface)、ミキサーなどの API が使用されることがあります。これらの API では、変換が自動的に行われます。Windows Media Player は、必要に応じて内部のメディア ファンデーションのパイプラインでサンプル レート変換を実行します。ただし、Windows Media Player で、オーディオ エンジンが標準で処理できるオーディオを再生している場合、Windows Media Player はサンプル レート変換を行うことなく固有のパイプラインを再構築します。この動作により、中間のオーディオ変換が削減されてパフォーマンスが向上します。 オーディオ データがオーディオ エンジンに移動した後、ユーザーはオーディオがミキサーのバッファに移動する前にオーディオ エフェクトを適用できます。これらのエフェクトの設定を表示するには、[拡張設定] タブをクリックし、[スピーカーのプロパティ] ダイアログ ボックスをクリックします。 5.1 オーディオ システムで、[スピーカーのプロパティ] ダイアログ ボックスの [スピーカー フィル] の設定を変更すると、オーディオ エンジンでサポートされる標準の形式に影響します。たとえば、[スピーカー フィル] を有効にすると、オーディオ エンジンはマルチチャネル ハードウェアのステレオ オーディオを標準でサポートします。しかし、[スピーカー フィル] を無効にすると、オーディオ エンジンはマルチチャネル ハードウェアのステレオ オーディオを標準でサポートしません。そのため、アプリケーションによってステレオ オーディオがオーディオ エンジンに渡される前に、アプリケーションでステレオ オーディオが 5.1 チャネルに変換されます。 ボリューム コントロールおよび Windows Media Player のエフェクトが排他モードのオーディオ エンジンで機能しないアプリケーションは、オーディオ デバイスからダイレクト メモリ アクセス (DMA) モードのオーディオ バッファへの直接アクセスが、オーディオ エンジンによってアプリケーションに許可されるように要求できます。オペレーティング システムによるオーディオ データの中間処理が最小限になることが要求されるアプリケーションは、DMA モードで動作します。また、Dolby Digital や WMA Pro などの圧縮オーディオ データを S/PDIF (Sony/Philips Digital Interface) を介して出力する必要があるアプリケーションも、DMA モードで動作します。アプリケーションのオーディオ エンジンが排他モードの場合、その他のアプリケーションはオーディオを提供できません。これは、[スピーカーのプロパティ] ダイアログ ボックスの [詳細] タブで制御できます。排他モードでは、オーディオ エンジン スタック全体が無視されます。そのため、システム サウンド、セッションごとのボリューム コントロール、および Windows Media Player の拡張設定は機能しません。マルチチャネル ハードウェアのモノラル コンテンツが中央のスピーカーからのみ提供されるWindows Vista の新しいオーディオ エンジンは、中央のチャネルから単一チャネル (モノラル) のコンテンツを提供します。同時に、オーディオ エンジンは 5.1 オーディオ システムや 7.1 オーディオ システムなどのマルチチャネル スピーカー構成のオーディオを提供します。この動作は、モノラル オーディオが左と右のチャネルに均等に分割される Windows XP とは異なります。そのため、ユーザーが 5.1 オーディオ システムの左または右の出力にヘッドホンを接続すると、モノラル コンテンツは聞こえなくなります。また、マルチチャネル システムのスピーカー内部ヘッドホンの一部の出力では、すべてのチャネルがステレオにミキシングされないことがあります。この場合、すべてのオーディオはシステムから聞こえなくなります。このデフォルトの動作によってハードウェア上の問題が生じる場合は、コントロール パネルから使用できる [スピーカーのセットアップ] ダイアログ ボックスを使用して、ステレオで使用されるオーディオ チャネル数を変更します。これにより、オーディオ エンジンからモノラル オーディオが左と右のチャネルに送信されます。 エンコードされたオーディオを S/PDIF を介して再生すると約 200 ミリ秒 (ms) の短時間の無音が発生するオーディオ デバイスが外部の S/PDIF レシーバを使用するように構成されている場合、Windows Media Player によって、Dolby Digital、DTS、または WMA Pro などのエンコードされたオーディオがデバイスに送信されることがあります。オーディオは、オーディオまたはビデオのレシーバ内に埋め込まれたデコーダによってデコードされます。埋め込まれたデコーダはコンピュータ内にはありません。このモードでオーディオを再生すると、再生開始時にオーディオの一部が欠落する場合があります。欠落するオーディオは 200 ミリ秒ほどの長さです。ただし、この長さはレシーバによって異なることがあります。この現象は、外部のデコーダがストリームを検出し、内部パイプラインを設定し、デコードを開始するのにある程度時間がかかるために発生します。レシーバでオーディオが欠落し、オーディオの遅延再生は行われません。この動作により、ビデオが提供されている場合に、そのビデオとオーディオとの同期が保たれます。一般的に、ほとんどの商用コンテンツの冒頭にはオーディオ コンテンツがないため、オーディオの欠落による DVD 再生への影響はほとんどありません。通常、冒頭に表示されるのは FBI の警告またはロゴです。ただし、Windows Media Player で再生リストを使用するとオーディオが欠落する場合があります。この現象は特に、コンテンツの種類が WMA Pro などのサポートされるエンコード形式から MP3、WAV などのサポートされないエンコード形式に変更されるときに発生することがあります。この現象が発生するたびに、S/PDIF レシーバは非圧縮形式の提供から圧縮形式の提供に変更する必要があります。この動作が問題になる場合、ユーザーは、S/PDIF オーディオ デバイスのプロパティ ダイアログ ボックスの [サポートされている形式] タブでエンコードされた形式を無効にすることで、エンコードされたオーディオ出力を無効にできます。サポートされないエンコード形式を無効にすると、そのコンピュータではすべてのコンテンツについて非圧縮 PCM オーディオが S/PDIF レシーバに送信されます。 [スピーカー フィル] が有効になっている場合にステレオからマルチチャネル オーディオへのクロスフェードが機能しないクロスフェードは、前の曲が終わる前に次の曲を静かに開始する Windows Media Player の機能です。この機能は、シームレス オーディオとも呼ばれます。Windows XP の Windows Media Player では、オーディオ チャネル数が同じメディア要素間でのみクロスフェードが可能です。Windows Vista の Windows Media Player では、メディア ファンデーションが使用されます。これにより、チャネル数が異なるメディア要素間でもクロスフェードが可能になります。ただし、Windows Media Player でクロスフェードが行われない場合が 1 つあります。それは、[スピーカー フィル] が有効になっていて、Windows Media Player の再生リストでステレオ オーディオの次に 5.1 または 7.1 マルチチャネル オーディオが登録されている場合です。この現象が問題になる場合は、[スピーカーのプロパティ] ダイアログ ボックスの [拡張設定] タブの [スピーカー フィル] チェック ボックスをオフにすることで [スピーカー フィル] を無効にできます。 この資料は以下の製品について記述したものです。
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