LAN リンクまたは WAN リンク上での個人用フォルダー (.pst) ファイルの使用の制限

適用対象: Outlook 2016Outlook 2013Microsoft Outlook 2010 詳細

概要


この資料では、LAN (Local Area Network) リンクまたは WAN (Wide Area Network) リンク上での個人用フォルダー (.pst) ファイルの使用の制限について説明します。 .pst ファイルは、企業環境でメッセージを長期間にわたって継続的に格納するためのものではないことに注意してください。

この資料では、.pst ファイルに代わる次の 3 つの方法も示します。
  • Office 365 Exchange Online、Microsoft Exchange Server 2013 または Microsoft Exchange Server 2010 の個人用アーカイブ メールボックスを使用します。
  • Microsoft Outlook を Exchange キャッシュ モードで構成します。 これにより、Exchange Server メールボックス データがローカルのオフライン フォルダー (.ost) ファイルにキャッシュされます。
  • Windows ターミナル サービス上で実行されるように Outlook を構成し、オンライン モードで Exchange Server メールボックスに接続します。

さらに、この資料ではネットワーク接続された .pst ファイルを使用する 1 つのサポートされるシナリオについても説明します。 このシナリオでは、Microsoft Outlook 2010 またはそれ以降のバージョンをリモートで Windows Server 2008 R2 またはそれ以降のリモート デスクトップ セッション ホスト (RDSH) 上で使用します。

詳細情報


.pst ファイルは、ユーザーがローカル コンピューター上にメッセージのコピーを保持できるように、Microsoft Exchange Server 4.0 チームにより作成されました。 また .pst ファイルは、Microsoft Exchange Server コンピューターへのアクセス権のないユーザー (たとえば、POP3 または IMAP の電子メールのユーザー) のためのメッセージ ストアとしても機能します。

しかし、.pst ファイルは企業ネットワーク ソリューションとして作成されたわけではありません。 .pst ファイルの格納場所としてネットワーク ディレクトリや UNC (Universal Naming Convention) パスを指定することも可能ですが、ネットワークの利用は、企業環境でメッセージを長期間にわたって継続的に格納するためのものではありません。

.pst ファイルは、メッセージを格納するためのファイル アクセス主導の手法です。 ファイル アクセス主導とは、コンピューターがオペレーティング システムによって提供される特殊なファイル アクセス コマンドを使用して、ファイルに対するデータの読み書きを行うことを意味します。

これは WAN リンクまたは LAN リンクでは効率的ではありません。WAN リンクや LAN リンクでは、ネットワーク アクセス主導の手法を使用するからです。 この手法では、別のネットワーク コンピューターとの間でデータを送受信するためにオペレーティング システムによって提供されるコマンドを使用します。 リモートの .pst ファイルが (ネットワーク リンク上に) 存在する場合、Outlook はファイル コマンドを使用してファイルに対する読み書きを行います。 しかし、ファイルがローカル コンピューター上にないため、オペレーティング システムはそれらのコマンドをネットワーク上で送信する必要があります。 これにより膨大なオーバーヘッドが生じ、ファイルへの読み書きに必要な時間が増大します。 さらに、ネットワーク接続上で .pst ファイルを使用すると、接続の悪化や障害が発生した場合に .pst ファイルが破損する可能性があります。

ネットワーク ストレージ デバイス、または共有をホストするサーバーで発生する可能性がある問題の詳細については、以下のマイクロソフト Web サイトを参照してください。 WAN リンクおよび LAN リンク上での .pst ファイルのその他の特性
  • すべての処理で時間がかかります。
  • 読み取り処理に比べ、書き込み処理に約 4 倍の時間がかかります。
  • Exchange クライアントに比べ、Outlook の処理速度が低下します。
これらの特性により、ネットワーク共有上にオフライン フォルダー (.ost) ファイルおよび個人用アドレス帳 (.pab) ファイルを置いてリモートにアクセスする構成もサポート対象外となっています。

組織にローミング ユーザーがいる場合は、以下のマイクロソフト Web サイトを参照してください。

推奨事項

マイクロソフトでは以下の解決策をお勧めしています。 最初の 3 つは、LAN または WAN 上での .pst ファイルの使用に代わるものです。 4 番目は、ネットワーク接続された .pst ファイルを使用するオプションですが、Outlook 2010 またはそれ以降のバージョンを Windows Server 2008 R2 またはそれ以降のリモート デスクトップ セッション ホストでリモートにホストしている場合にのみ利用できるオプションです。

Exchange Server 2010 および Exchange Server 2013 個人用アーカイブ メールボックス

個人用アーカイブは、管理者が組織のメッセージ データを再び管理できるようにするのに役立ちます。つまり、個人ストア (.pst) ファイルが不要になり、ユーザーが Microsoft Outlook 2007 またはそれ以降のバージョン、および Microsoft Office Outlook Web App でアクセスできる個人用アーカイブ メールボックスにメッセージを保存できるようにします。

個人用アーカイブの詳細については、次のマイクロソフト TechNet Web サイトを参照してください。

Exchange Server とローカル .ost ファイル

WAN または LAN を利用している場合は、Microsoft Outlook を Exchange キャッシュ モードで構成することをお勧めします。 これにより、Exchange Server のメールボックス データがローカルのオフライン フォルダー (.ost) ファイルにキャッシュされます。 この構成を使用すると、リモート クライアントはサーバーに接続していなくても正常に機能します。 .ost ファイルがローカル レプリケーションをサポートしていることに注目してください。これは、リモート メールを使用するときも含め、電子メール メッセージだけでなく、すべてのフォルダーとそのデータを .ost ファイルにレプリケートできることを意味します。 そのため、.ost ファイルを使用した方が効率的で便利です。 また、情報がローカルの .ost ファイルにキャッシュされるため、.ost ファイルは Exchange Server コンピューターが使用できるかどうかということに依存しません (新規データをサーバーとクライアント間で同期する場合は除きます)。 この場合、データのマスター コピーは、そのアクセスとバックアップが可能なサーバーに置きながら、表示する情報はローカル ドライブに保存されているため、パフォーマンスが向上します。 さらに、.ost ファイルではデータの冗長性も得られ、データの整合性と回復可能性が高くなります。

Microsoft ターミナル サービス

企業で Outlook を WAN リンクまたは LAN リンク上で使用する場合は、Microsoft Windows ターミナル サーバー サービスを使用しながら、Exchange Server メールボックスにオンライン モードで接続するように Outlook を構成する方が効率的です。 ターミナル サービスでは、表示を更新するために必要な情報だけが転送されます。 (.pst ファイルや .ost ファイルを使用するのではなく) ターミナル サービスを使用して多数のリモート ユーザーを管理すると、ネットワーク帯域幅の節約という点で大きなメリットが得られる可能性があります。

Windows Server 2008 R2 またはそれ以降のリモート デスクトップ セッション ホスト (RDSH) または仮想デスクトップ インフラストラクチャ (VDI) 構成を使用した Outlook 2010 またはそれ以降のバージョンのリモート ホスト

以下の条件に該当する場合、ネットワーク接続された .pst ファイルと .ost ファイルを使用するときに、Outlook 2010 またはそれ以降のバージョンの機能がサポートされます。 
  • 帯域幅が広く、遅延が少ないネットワーク接続を使用しています。
  • ファイルごとのクライアント アクセスが 1 つ (.pst または .ost ごとに 1 つの Outlook クライアント)。
  • Windows Server 2008 R2 またはそれ以降のリモート デスクトップ セッション ホスト (RDSH) または Windows Server 2008 R2 またはそれ以降の仮想デスクトップ インフラストラクチャ (VDI) を使用して Outlook をリモートで実行しています。
特定の Outlook 機能が停止するか、.pst ファイルまたは .ost ファイルが破損し、上記の環境で問題を再現できる場合、マイクロソフト サポートに問い合わせてください。

適切なネットワークおよびディスク I/O の定義および管理はどちらもお客様の責任です。 マイクロソフトは、ネットワーク接続された .pst ファイルまたは .ost ファイルが原因となっているパフォーマンス低下のトラブルシューティングをサポートしません。 マイクロソフトは、.pst ファイルまたは .ost ファイルが Outlook を実行しているコンピューターに物理的に接続されているハード ディスク、または Outlook を実行している仮想マシンに接続されている仮想ハード ディスク (VHD) のいずれかにあるときにパフォーマンスの問題が再現される場合に限りサポートします。

重要 マイクロソフトのプログラムは、サードパーティのアプリケーションまたはソフトウェア仮想化環境では正常に機能しない場合があります。 サードパーティのアプリケーションまたはソフトウェア仮想化環境で実行されるマイクロソフト製品のテストは行っていません。 マイクロソフト以外のハードウェア仮想化ソフトウェアと共に実行するソフトウェアに関するマイクロソフトのサポートの詳細については、以下のマイクロソフトサポート技術情報 (Microsoft Knowledge Base) の記事を参照してください。
897615 マイクロソフト以外のハードウェア仮想化ソフトウェアでマイクロソフトのソフトウェアを実行する場合のサポート ポリシー

この構成に固有のネットワーク スケーラビリティ ガイドは、『リモート デスクトップ セッション ホスト環境での Exchange キャッシュ モード: 計画時の注意点 (Outlook 2010)』ホワイト ペーパーに含まれています。 このドキュメントは Exchange キャッシュ モードに関するものですが、上記の条件を満たしていれば、スケーラビリティの基準は他の Outlook 構成にも該当します。 このホワイト ペーパーを Microsoft Word ドキュメント (.docx) としてダウンロードするには、以下のマイクロソフト Web サイトを参照してください。

.pst ファイルを格納するときの考慮事項

.pst ファイルを格納すると、共有が応答しなくなることがあります。 これにより、Outlook が応答しなくなる、クライアント コンピューターのデスクトップがフリーズするなどの問題がクライアント側で発生する可能性があります。 この一時的な状態を引き起こしているのは、サーバー サービスの作業キューでのキューイングです。 サーバー サービスでは、.pst ファイルを拡張する要求などの作業項目を使用して、ネットワーク経由で着信する I/O 要求を処理します。 これらの作業項目は、サーバー サービスの作業キューに入れられます。 この作業キューから、作業項目がサーバー サービスのワーカー スレッドによって処理されます。 作業項目は、非ページ プール (NPP) と呼ばれるカーネル リソースから割り当てられます。 サーバー サービスは、これらの I/O 要求をディスク サブシステムに送ります。 既に説明した理由により、ディスク サブシステムが時間内に応答しない場合、着信した I/O 要求はサーバーの作業キューの作業項目を使用してキューイングされます。 これらの作業項目は NPP から割り当てられるため、NPP はやがて枯渇します。 NPP が枯渇すると、システムは最終的に応答しなくなり、イベント ID 2019 をログに記録します。

この問題のトラブルシューティングを行うと、通常は Poolmon および Perfmon のキャプチャで問題の証拠を確認できます。 たとえば、Poolmon のトレースで LSwn プール タグの割り当てが上昇していることがあります。 これらの割り当ては Srv.sys プログラムによって行われます。 割り当てのサイズは、SizReqBuf レジストリ値を使用して構成できます。 サーバー サービスによって使用される作業項目ごとに、1 つの割り当てが行われます。 Perfmon を使用してこの問題のトラブルシューティングを行うと、"Available Work Items" カウンターが確実に減少するのがわかります。 "Available Work Items" がゼロになると、クライアントはファイルにアクセスできなくなる可能性があります。 また、問題が LSwn の割り当て (NPP の枯渇) である場合、イベント ID 2019 エラーが発生することがあります。 .pst ファイルの問題を表すもう 1 つのタグは、MmSt タグです。 このタグは、マップ ファイルに使用されるメモリ管理関連の構造体である Mm セクション オブジェクト プロトタイプ PTE を表します (このタグは、共有ファイルの追跡に使用されるオペレーティング システム メモリのマッピングに使用されるプール タグです)。 MmSt は、ページ プールの枯渇 (イベント ID 2020) として頻繁に発行されます。

共有ファイルが存在する場合の Exchange 接続および Outlook パフォーマンスのトラブルシューティング

環境にネットワーク共有型の .pst ファイルがある場合、次のガイドラインに従っていることをトラブルシューティング時に確認します。
  • これらのファイルは、Exchange サーバーによって使用されるファイルと同じストレージ メディアに保存してはいけません。 これには、コア ファイル、データベース、およびログ ファイルが含まれます。
  • これらのファイルを Outlook プロファイルから切り離し、Outlook を再起動する必要があります。

これらの問題や、.pst ファイルがクライアントのパフォーマンス問題の原因になっている可能性に対処するため、Microsoft Exchange Server と Microsoft Office Outlook のサポート チームは、トラブルシューティング時にこれらの作業を行う必要があります。

関連情報


関連情報を参照するには、以下のサポート技術情報番号をクリックしてください。

208480 Outlook ストレージ機能の目的と容量について

177446 Microsoft Remote Procedure Call のパフォーマンスをテストする方法