現象
Microsoft Excel のワークシートで LINEST ワークシート関数を使用すると、誤った値の統計出力が返される場合があります。分析ツールの回帰分析ツールでも誤った値が返される場合があります。
原因
次のうち 1 つ以上の条件に該当している場合に、LINEST によって正しくない値が返されることがあります。
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x の値の範囲が y の値の範囲と重複している。
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入力範囲内の行数が、x の値と y の値を合わせた範囲の列数より少ない。
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定数に 0 (ゼロ) を指定した (LINEST 関数の 3 番目の引数に True を指定した)。
回避策
状況 1 : x の値の範囲が y の値の範囲と重複している
x の値と y の値の範囲が重複していると、LINEST ワークシート関数ではすべての結果セルで誤った値が生成されます。統計的正規分布では、x と y の範囲内の値が重複することは許されません。式内でセルを参照する場合は x の値と y の値の範囲が重複しないようにしてください。
注 : 回帰分析ツールでは、この問題が発生した場合に警告が表示され、処理は続行されません。LINEST ワークシート関数の代わりに回帰分析ツールを使用できます。
Microsoft Office Excel 2007 では、[データ] タブで [分析] の [データ分析] をクリックすることで回帰分析ツールを使用できます。
Microsoft Office Excel 2003 およびそれ以前のバージョンの Excel では、[ツール] メニューの [分析ツール] をクリックすることで、回帰分析ツールを使用できます。
状況 2 : 行数が x 列の数より少ない
x (変数) 列の数より行数が少ない状況は、統計的に無効です。データの行数は、x 列と y 列を加えたデータの列数より大きい必要があります。
状況 3 : 定数に 0 (ゼロ) を指定した
この関数では、定数に 0 (ゼロ) を指定 (b=0) しないでください。
詳細
回帰分析ツールは分析ツールに含まれています。分析ツールは、Excel のアドイン プログラムです。これは、Microsoft Office または Excel をインストールすると利用できます。Excel で回帰分析ツールを使用する場合は、まず分析ツールを読み込む必要があります。
Excel 2007 でこれを行うには、以下の手順を実行します。
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Microsoft Office ボタンをクリックし、[Excel のオプション] をクリックします。
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[アドイン] をクリックし、[管理] ボックスの一覧で、[Excel アドイン] をクリックします。
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[設定] をクリックします。
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[有効なアドイン] ボックスで、[分析ツール] チェック ボックスをオンにし、[OK] をクリックします。
注 : [分析ツール] が [有効なアドイン] ボックスの一覧に表示されない場合は、[参照] をクリックして場所を指定します。
Excel 2003 およびそれ以前のバージョンの Excel でこれを行うには、以下の手順を実行します。
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[ツール] メニューの [アドイン] をクリックします。
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[有効なアドイン] ボックスで、[分析ツール] チェック ボックスをオンにし、[OK] をクリックします。
注 : [分析ツール] が [有効なアドイン] ボックスの一覧に表示されない場合は、[参照] をクリックして場所を指定します。
関連情報
『Statistical Computations on a Digital Computer』William J. Hemmerle 著、1967 年 Blaisdell Publishing Company 発行、「Chapter 3 Multiple-Regression Computations」および「3.2.1 Preliminary Regression Theory」