ここでは、Microsoft Excel の NPV 関数の書式および使用法について説明します。
説明
投資の正味現在価値を、割引率、将来行われる一連の支払い (負の値)、およびその収益 (正の値) を使って算出します。
書式
NPV(割引率,値 1,[値 2],...)
NPV 関数の書式には、次の引数があります。
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              利率 必ず指定します。 投資期間を通じて一定の利率を指定します。 
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              値 1, 値 2, ... 値 1 は必ず指定します。値 2 以降は省略可能です。 支払いと収入を表す 1 から 254 の引数。 - 
                  値 1, 値 2, ... は定期的に、各期末に発生するものです。 
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                  NPV 関数では、値 1, 値 2, ... の順序がキャッシュ フローの順序であると見なされます。 支払額と収益額を入力する際は、その順序に注意してください。 
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                  引数が空白セル、論理値、数値を表す文字列、エラー値、または数値に変換できない文字列の場合は無視されます。 
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                  引数が配列またはセル範囲の参照である場合、その中に含まれている数値だけが計算の対象となります。 空白セル、論理値、文字列、またはエラー値はすべて無視されます。 
 
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解説
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              NPV 関数では、投資は値 1 のキャッシュ フローが発生する日付より 1 期前に開始され、引数リストの最後のキャッシュ フローで終了します。 NPV 関数の計算は、将来のキャッシュ フローに基づいて行われます。 このため、最初のキャッシュ フローが 1 期目の期首に発生する場合、このキャッシュ フローを引数として指定せずに、NPV 関数の計算結果に加算する必要があります。 詳細については、使用例を参照してください。 
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              n が引数リスト内のキャッシュ フロー数の場合、NPV 関数は、次の数式で表されます。 
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              NPV 関数は、投資の現在価値を返す PV 関数と似ています。 PV 関数と NPV 関数の最も大きな違いは、PV 関数ではキャッシュ フローが期首と期末のどちらに発生してもかまわない点にあります。 また、NPV 関数ではキャッシュ フローの金額が一定していませんが、PV 関数では投資期間を通じて一定である必要があります。 財務関数の詳細については、PV 関数を参照してください。 
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              NPV は、IRR 関数 (内部戻り速度) にも関連しています。 IRR は、NPV が 0 に等しいレートです。NPV(IRR(...), ...) = 0 です。 
使用例
次の表のサンプル データをコピーし、新しい Excel ワークシートのセル A1 に貼り付けます。 数式を選択して、F2 キーを押し、さらに Enter キーを押すと、結果が表示されます。 必要に応じて、列幅を調整してすべてのデータを表示してください。
| データ | 説明 | |
|---|---|---|
| 0.1 | 年間割引率 | |
| -1000000 | 今後 1 年間の初期投資額 | |
| 3000 | 初年度の収益 | |
| 4200 | 2 年目の収益 | |
| 6800 | 3 年目の収益 | |
| 数式 | 説明 | 結果 | 
| =NPV(A2, A3, A4, A5, A6) | この投資の正味現在価値を求めます | ¥118,844 | 
使用例 2
| データ | 説明 | |
|---|---|---|
| 0.08 | 年間割引率。 インフレ率や借入金の利息を考慮した年間割引率。 | |
| -4,000,000 | 初期投資額 | |
| 8000 | 初年度の収益 | |
| 9200 | 2 年目の収益 | |
| 10000 | 3 年目の収益 | |
| 12000 | 4 年目の収益 | |
| 14500 | 5 年目の収益 | |
| 数式 | 説明 | 結果 | 
| =NPV(A2, A4:A8)+A3 | この投資の正味現在価値を求めます | ¥192,206 | 
| =NPV(A2, A4:A8, -900000)+A3 | 6 年目に 900,000 円の損失が発生すると予測される場合の、投資の正味現在価値を求めます | (¥374,947) | 
 
                         
				 
				